視察レポート
キャリア学習につながる石川県白山市の産業観光(2025年4月号掲載)
2025-04-05
文・写真=(公財)日本修学旅行協会 編集部 中出 三千代
月刊「教育旅行」2025年4月号掲載
※本記事中の情報は執筆当時のもので、その後変更されている場合があります。
最新情報は問い合せ先にご照会ください。
※本記事中の情報は執筆当時のもので、その後変更されている場合があります。
最新情報は問い合せ先にご照会ください。
石川県白山市は、金沢駅と小松空港のほぼ中間にあり、南は岐阜県と福井県との県境に接する。日本三名山のひとつに数えられる霊峰白山が南にそびえ、市全域が2023年に「白山手取川(てどりがわ)ユネスコ世界ジオパーク」に認定された自然豊かな地だ。
白山市では、昨年オープンした「トレインパーク白山」を中心とした産業観光に注力していて、(一社)白山市観光連盟のモニターツアーで、それらの施設・企業を訪問させていただいた。
白山市では、昨年オープンした「トレインパーク白山」を中心とした産業観光に注力していて、(一社)白山市観光連盟のモニターツアーで、それらの施設・企業を訪問させていただいた。
新幹線の安全を支える人々の仕事を知る トレインパーク白山
トレインパーク白山(白山市立高速鉄道ビジターセンター)は、JR西日本の白山総合車両所に隣接して建てられた体験型施設。5階建ての建物は、北陸新幹線の車両のアクセントカラーである「空色と銅色」を効果的に用い、新幹線をイメージした流線型の外観をもつ。団体向けの館内ガイドプラン(有料)があり、今回はセンター長の小山さんにご案内いただいた。
5階の「新幹線展望エリア」で、真下を走る北陸新幹線を待ち受ける。ここを走る新幹線は時速約200kmで、5秒ほどで通過する。来てしまうと本当にあっという間だが、新幹線が来るタイミングや車両の見分け方(JR西日本か東日本か)などもガイドさんが教えてくれる。反対側の「白山展望エリア」からは、晴れた日には雄大な白山を眺めることができる。
4階は「新幹線見学エリア」で、白山総合車両所へは連絡ブリッジを通って行くが、ここでもすぐ横を通過する新幹線を見ることができる。白山総合車両所は、12両編成の新幹線が最大5台まで収容できる広大な車両工場。新幹線に関するすべての点検・整備を行うことができる「総合」車両所は全国でも数少なく、貴重な見学体験となる。ガラス越しでの見学となるが、実際の現場で働いている人の様子も見ることができ、キャリア学習にもうってつけの体験だ。
3階は「こども あそびエリア」で、霊峰白山をモチーフとした大型立体遊具や、壁面に泳ぎ回る海の生き物のデジタルアトラクションなどが設けられている。特に寒い冬には、外で遊べない地元の子供達に人気のエリアだという。
5階の「新幹線展望エリア」で、真下を走る北陸新幹線を待ち受ける。ここを走る新幹線は時速約200kmで、5秒ほどで通過する。来てしまうと本当にあっという間だが、新幹線が来るタイミングや車両の見分け方(JR西日本か東日本か)などもガイドさんが教えてくれる。反対側の「白山展望エリア」からは、晴れた日には雄大な白山を眺めることができる。
4階は「新幹線見学エリア」で、白山総合車両所へは連絡ブリッジを通って行くが、ここでもすぐ横を通過する新幹線を見ることができる。白山総合車両所は、12両編成の新幹線が最大5台まで収容できる広大な車両工場。新幹線に関するすべての点検・整備を行うことができる「総合」車両所は全国でも数少なく、貴重な見学体験となる。ガラス越しでの見学となるが、実際の現場で働いている人の様子も見ることができ、キャリア学習にもうってつけの体験だ。
3階は「こども あそびエリア」で、霊峰白山をモチーフとした大型立体遊具や、壁面に泳ぎ回る海の生き物のデジタルアトラクションなどが設けられている。特に寒い冬には、外で遊べない地元の子供達に人気のエリアだという。

新幹線 学びと体感エリアの展示
1階には、「新幹線 学びと体感エリア」と「観光情報 おみやげエリア」がある。「新幹線 学びと体感エリア」では、新幹線の歴史や技術の紹介、実物の車両部品の展示や北陸ならではの雪対策などについて学ぶことができるほか、運転シミュレータ(有料)や検査体験を通して学べる展示が充実している。2019年の千曲川の氾濫で被災した台車も展示されていて、当初は泥だらけだったものを、白山総合車両所の方がきれいに磨き上げたという。
入場料は、「新幹線 学びと体感エリア」と「こどもあそびエリア」がそれぞれ、大人500円、こども(中学生以下)無料。「新幹線見学エリア」はどちらかの入場券があれば入場可能で、5階は入場無料。団体向けの館内ガイドプランは、所要時間40~60分、10~40名(20名程度までを推奨)、1人300円(入場料別)。1カ月前までの事前予約で、午前・午後各1組、平日限定となっている。
このエリアを訪問する生徒達が乗ってきたであろう北陸新幹線をテーマとするこの施設では、新幹線の運行や点検・整備に携わる人々の仕事がぐっと身近に感じられる。
入場料は、「新幹線 学びと体感エリア」と「こどもあそびエリア」がそれぞれ、大人500円、こども(中学生以下)無料。「新幹線見学エリア」はどちらかの入場券があれば入場可能で、5階は入場無料。団体向けの館内ガイドプランは、所要時間40~60分、10~40名(20名程度までを推奨)、1人300円(入場料別)。1カ月前までの事前予約で、午前・午後各1組、平日限定となっている。
このエリアを訪問する生徒達が乗ってきたであろう北陸新幹線をテーマとするこの施設では、新幹線の運行や点検・整備に携わる人々の仕事がぐっと身近に感じられる。
最新の印刷工場の凄さを体感! 北國新聞白山印刷センター
金沢市に本社を置く北國新聞社が発行する『北國新聞』は、1893(明治二六)年創刊の地方新聞。北國新聞白山印刷センターは、創刊130年を記念して2023年に完成した最新の印刷工場で、『北國新聞』の朝夕刊と『富山新聞』の朝刊を印刷している。工場は3階建てで、最大7日間の電力を供給する自家発電装置も備えている。建物は耐震構造で、昨年1月1日の能登半島地震の際も工場は全く被害なく、本来新聞を制作しない1日に特別号外を発行したそうだ。
3階の見学ルームで、工場の概要と新聞が読者に届くまでの過程を説明してもらった。工場は徹底して省人化・機械化が進んでいて、以前は職人の技に頼っていた難しいカラー印刷の調整も、AI搭載の印刷機で自動調節できるとのことで、印刷現場で働いている人は一日最大10人と聞いて驚いた。ここからガラス越しに高速で紙が走り、輪転機で印刷されている様子が間近に見える。新聞紙は、1階から3階に流れて印刷され、また3階から降る途中で断裁・梱包されて、1階の発送トラックヤードまで自動的に搬送されていく。
印刷フロアでは、2台の輪転機の近くまで行き、機械が高速で回転する様子を見学。大きな新聞用紙のロールを運ぶ無人搬送ロボットや用紙の立体倉庫なども見学した。発送トラックヤードも自動化されていて、各宅配エリア担当のトラックに自動的に指定された数の新聞が、振り分けられ運ばれていく。印刷から発送まで、そのスピードに驚かされる。
3階の見学ルームに戻り、北國新聞社本社の方による「新聞の読み方講座」を受けた。新聞記事は見出し・リード・本文で構成されていて、一番伝えたいことを最初に置く「逆三角形」の文章であることなど、記者の目線から着目してもらいたいポイントを教えてもらった。また、地方紙はその地域の情報が中心のため、「ふるさと愛」の醸成にも役立っていると、その存在価値を熱く語っていただいた。講座の最後には、参加者の誕生日に発行された新聞紙面のプリントがお土産にもらえる。
見学は平日のみで、夕刊の印刷に合わせて13:00頃スタート、工場見学と講座受講で15:00頃まで。受入人数は10~40名、費用は一人1、650円。
生徒達が紙の新聞に触れる機会は減ってきていると思われるが、情報を素早く正確に伝える新聞社の仕事の価値と凄さに気づくことのできるプログラムだ。
知られざる業界シェアNo.1の技術力を実感 アイナックス稲本(株)白山工場
アイナックス稲本(株)は、100年以上の歴史を持つ、ランドリープラント業界シェアNo.1のメーカー。業務用洗濯機械設備の製造・販売をはじめ、メンテナンス、機械器具設置工事等を行っている。白山工場で製作された設備は、ホテルリネン、病院・介護施設のシーツやタオル、ユニフォーム等、様々な業務用の洗濯を行うクリーニング工場で使用されている。
最初に、会社の概要やクリーニング業界の状況等の説明を受けた。この工場で造っているのは、街のコインランドリーにあるものよりも大きな業務用の洗濯機や乾燥機で、一番大きな洗濯機は全長18mほどもあり、電車1両とほぼ同じ大きさだという。また、業務用は家庭用の洗濯乾燥機とは違い、洗う・絞る・乾燥する、それぞれの専用機になる。
その後、現場責任者の方に、工場の中を案内していただいた。工場は、旋盤や溶接、金属加工、電気など、それぞれ専門分野の部署に分かれている。一つ一つの機械は納入する工場の要望に合わせたオーダーメイドで、部品もほとんど工場内で造っているという。専門性と技術力の高さが感じられる。実際に職人さん達が働いている現場を間近で見学できるのは、とても貴重な機会だ。特に工業高校の生徒など、卒業後に製造業に就職する生徒にとっては、働き方が具体的にイメージできる、格好のキャリア学習の題材だろう。
機械の企画・開発や実験等を行う白山テクニカルセンターが近くにあり、現場で受入可能な日であれば、白山工場で製作される機械の操作デモンストレーションなどを見せていただける。
実際の作業現場を見学するため、1組5名で、ローテーションして最大40名の受入人数となる。金属端材を活用した「恐竜模型」がお土産にもらえる。
白山市ではこの他、産業廃棄処理プラントの(株)アクトリーや建築鉄骨メーカー(株)ヨネモリといった各業界のリーディングカンパニーでも、学校団体の見学を受け入れている。また、団体での食事場所として道の駅めぐみ白山が利用でき、地元の食材を使った和定食などの特別メニューも事前予約で対応可能だそうだ。
ジオパークでの自然・環境学習に加え、キャリア学習にもつながる産業観光のプログラムが充実した白山市では、バラエティに富んだ体験・学習ができるだろう。教育旅行の訪問地として、是非おすすめしたい。
【問い合せ先】
(一社)白山市観光連盟
TEL:076―259―5893
