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掲載記事・視察レポート

視察レポート

東京ディズニーシー (R) に誕生した新たなファンタジーの世界(2024年9月号掲載)

2024-09-10
文・写真=(公財)日本修学旅行協会 理事長 竹内 秀一
月刊「教育旅行」2024年9月号掲載
※本記事中の情報は執筆当時のもので、その後変更されている場合があります。
最新情報は問い合せ先にご照会ください。


修学旅行などでも人気の東京ディズニーシー。何度訪れても、そのたびに新しい発見があり、いつも新鮮な気持ちで楽しむことができるテーマパークだ。

そこにオープンした新テーマポート「ファンタジースプリングス」。ここは、大ヒットしたディズニーのアニメ映画『アナと雪の女王』と『塔の上のラプンツェル』、そして1953年の公開以来、世界中で愛され続けてきた『ピーター・パン』、この3つの世界が再現された、まさに「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」。

「ファンタジースプリングス」は、ロストリバーデルタとアラビアンコーストの間を抜けた先に広がっている。エントリーウェイでは、溢れ出る泉が流れ落ちる岩壁に刻まれたラプンツェル、アナとエルサ、ピーター・パンの像が、ゲストをこれまでに見たことのない夢の世界に誘う。
ピーター・パンと一緒に冒険の世界へ
ピーターパンのネバーランドアドベンチャー (C) Disney
岩穴を抜けるとそこがファンタジースプリングスだ。ピーター・パンとロストキッズの住処ネバーランドを再現したエリアに行ってみよう。

あちこちにロストキッズが遊んでいたらしい跡がある。注目ポイントは、フック船長の海賊船「ジョリー・ロジャー号」。フック船長が使っていたテーブルなどが置かれているのでぜひ乗船してほしい。そばにはドクロ岩も再現されている。

このエリアには、2つのアトラクションが設けられている。一つは『ピーターパンのネバーランドアドベンチャー』。プレショーで、ピーター・パンがウェンディの弟・ジョンがフック船長にさらわれたことを告げ、ゲストに一緒に助けに行こうと呼びかける。ゲストはボートに乗り、専用のゴーグルを着けてネバーランドから海賊船へ。ティンカーベルがかけた魔法の粉でボートは空中に舞い上がる。

海や山を眼下に見ながら空を駆け抜け飛び回る、その感覚は、ボートの動きと相俟って3D映像とは思えないくらいとてもリアルで最高の爽快感が味わえる。

海賊船では、フック船長や海賊たちとの闘いが繰り広げられ、見事ジョンを救い出すことに成功。かつて経験したことのない冒険に、誰もが感動すること疑いなしだ。
フェアリー・ティンカーベルのビジーバギー (C) Disney
もう一つは『フェアリー・ティンカーベルのビジーバギー』。バギーに乗って、ティンカーベルが妖精の谷のあちこちに荷物を運ぶのを手伝うという設定だ。

生い茂った樹々のゲートをくぐると、突然、身体が妖精のサイズに。四季折々の花々や小動物に昆虫たち、ティンカーベルのバギーに乗って草むらを駆け抜けたら、世界はこんなふうに見えるのかもしれない。

ティンカーベルの世界に浸りながら、ほっこりとした時間を楽しめるアトラクションだ。
ランタンフェスティバルの幻想に浸る
ラプンツェルのランタンフェスティバル (C) Disney
「ラプンツェルの森」に向かうと目の前にラプンツェルが暮らす塔が見えてくる。塔の周りは映画のシーンそのもの。塔には、窓際で歌うラプンツェルの姿が。

アトラクションは『ラプンツェルのランタンフェスティバル』。ボートに乗って映画のストーリーをたどっていく。ラプンツェルがいる塔を見上げながら進むと左手に大泥棒のフリン・ライダーと白馬のマキシマスが現れる。フリンに連れられ憧れの外の世界に踏み出したラプンツェルがとても嬉しそう。やがてフリンと心を通わせ、しだいに恋に落ちていく。ラプンツェルのおてんばと愛くるしさが強く印象に残った。

圧巻は、夜空いっぱいに広がるランタンの灯り。プリンセスの誕生日ごとに行われるランタンフェスティバルは映画でも印象的なシーンだったが、その美しさに心を奪われ気分は最高潮に。ボートはその灯りに包まれながら、ゆっくりと進んでいく。

日が沈み、あたり一面が暗くなると、アトラクションに向かう森の中に吊るされたたくさんのランタンにも一斉に灯りがともされ、一層幻想的になっていった。
映画「アナと雪の女王」の感動を再び
アナとエルサのフローズンジャーニー (C) Disney
新エリアの一番奥に雪の女王エルサとアナの国、アレンデールが映画のシーンそのままに再現されている。ひと際立派なアレンデール城は、「アレンデール・ロイヤルバンケット」というレストランになっている。城の向こうにはノースマウンテンが聳え、エルサが築いた氷の宮殿も見える。村にはパステルカラーのかわいらしい建物が立ち並ぶ。村を歩いていると、まるでそこの住民になったかのよう。

『アナとエルサのフローズンジャーニー』は、ボートに乗って映画「アナと雪の女王」のストーリーを追体験するアトラクションだ。スタンバイエリアでの見どころもたくさんある。そこには、アレンデール城の中をイメージした4つの部屋「ファミリールーム」「温室」「プレイルーム」「図書室」が設けられていて、「ファミリールーム」の壁には家族のいろいろな肖像画、「プレイルーム」の中央には雪だるまのオラフなどの人形が動くオルゴール。その部屋ごとの造形が素晴らしく、乗船を待つ間も決して飽きることは無い。

アナとエルサの子ども時代に思いを巡らせながら歩いているとやがてボート乗り場に到着。ボートに乗り込み、出航するとすぐに、仲よく遊んでいた子どもの頃のエルサとアナの映像が目に入る。そしてエルサの魔法の力がアナを傷つけてしまったところから、『雪だるまつくろう』『生まれてはじめて』『レット・イット・ゴー~ありのままで~』など、数々の曲に合わせて展開されるストーリーの中にゲストは引き込まれていく。ボートは予想外の動きもしながら、いくつかの扉を通って進む。扉が開くたびに映画のシーンが次々と再現されていき、映画を観たときの感動が呼び起こされる。

とくにすごいと感じたのは、進化したプロジェクションマッピングに加え、アナやエルサをはじめとする映画のままのキャラクターが、3D映像ではなく立体の実像で登場し、それらが人間のように生き生きとした表情で歌い、なめらかに動いていたこと。これは、オーディオアニマトロニクスと呼ばれる技術を駆使したものだそうだ。とくに、エルサの魔法で氷の柱が一斉に現れてくるシーンや、エルサが『レット・イット・ゴー』を歌いながら魔法で氷の宮殿をつくっていくシーンは、これまでにない迫力だ。

6分30秒の旅だが、映画とミュージカルの舞台とを同時に観ているような贅沢な時間が楽しめる。できれば映画『アナと雪の女王』を観てから体験することをおすすめしたい。


ウォルト・ディズニーは、「積極的に未知の世界をたずね自発的に学ぶことの楽しさを、若い世代に伝えること」を大切にしていたという。東京ディズニーシーも東京ディズニーランド (R) も、ゲストに心から楽しんでもらうためのいろいろな工夫がそこここに施されている。ゲストは、パークを楽しむうちにそれらを自然と学ぶ。「ファンタジースプリングス」は、とくにそのことを感じさせる新テーマポートだ。


【問い合せ先】
(株)オリエンタルランド
千葉県浦安市美浜1―8―1 OLC新浦安ビル
TEL:047―305―5019
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