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愛知県の調査

修学旅行研究会

 当協会では、毎年11月に中学校修学旅行研究会を実施し、修学旅行の事例研究を行っています。研究会では、県内の「尾張」、「三河」、「名古屋」3地区から毎年1校が事例発表を行い、意見交換をしています。
参加者は、3地区の修学旅行委員の校長、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会等で、当協会本部からも参加をしています。


令和5年度 愛知県修学旅行研究会開催報告

<2023年度修学旅行研究会開催報告>
日 時:2023年11月15日(水)
場 所:名古屋都市センター会議室
発表校:名古屋市立東星中学校          
テーマ:自分だけの宝をみつける修学旅行 ~キャリアタイムの取り組みを通してみえた生徒の学び~

【修学旅行のねらい】
(1) 多くの人々とふれあい、様々な経験や体験を通して、生き方や役割を学ぶ。
(2) 集団生活を通して、協調性や思いやりの心を養い「仲間」との絆を深める。
(3) 公共のルールやマナーを意識して生活し、社会性を身に付ける。

【重点を置いた活動】
生徒の主体的な活動を大切にした修学旅行で、自分だけの宝を見付けるキャリアタイムの取り組みを通して、中学校生活3年間で積み上げた学びを広げ深める。

【事前学習】
 (1) キャリアタイムの取り組み
 本校では、校外学習や野外体験、職場体験などの行事で、キャリアナビゲーターが、生徒の事前指導等に直接関わり、キャリア育成に取り組んでいる。修学旅行のオリエンテーションでは、キャリアナビゲーターより、「今回の修学旅行では、テーマを『修学旅行で自分だけの宝を発見しよう!』として、次の4つの宝を集めましょう。」と呼び掛けた。
 4つの宝は、キャリア教育で育成したい基礎的・汎用的能力を構成する4つの資質・能力に基づいて設定した。
<4つの宝と4つの資質・能力>
【宝その1「人とつながる・協力する」】←『人間関係形成・社会形成能力』
【宝その2「自分を知る・成長する」】 ←『自己理解・自己管理能力』
【宝その3「課題を発見する」】    ←『課題対応能力』
【宝その4「自分の人生を考えていく」】←『キャリアプラニング能力』
 (2) 生徒主体の実行委員会活動
 学年のリーダー会である総務部を中心に、4つの実行委員会を立ち上げ、生徒全員がいずれかの実行委員会に所属した。バスレク実行委員会では、貴重な時間を楽しく、有意義に過ごしてほしいと考え、バスレク動画をつくり、上映することにした。1時間ほどの内容で、クイズやチャレンジ動画がふんだんに盛り込まれた。
 しおり実行委員では、当日携帯する小冊子「修学旅行のしおり」を作成した。日程や持ち物、ガイドブック、記録、健康チェック等の内容に加え、キャリアタイムのページを入れ、見つけた宝を書き込むようにした。

【修学旅行の日程】
1日目 名古屋駅⇒ディズニーランド(昼食・夕食)⇒オリエンタル東京ベイ(泊)
2日目 オリエンタル東京ベイ⇒国会議事堂⇒都内班別分散学習(昼食)⇒⇒山中湖ペンション(夕食・泊)
3日目 山中湖ペンション(朝食)⇒富士山麓自然体験学習⇒麦畑(昼食)⇒学校 
【当日の活動】
 (1) 1日目
朝9時半、名古屋駅構内で集合した。全員時間通りに集合することができた。新幹線内では、本校生徒だけの車両と、一般客も同乗する車両があったが、生徒はその場に応じた行動ができていた。東京駅下車後、京葉線で舞浜駅まで移動し、ディズニーランドに班別にまとまって入場した。ディズニーランドに向かう電車内では、一般客に席を譲る生徒の姿がみられた。夜8時頃までディズニーランドに滞在したが、体調不良者は一人もでず、本部で休む生徒はいなかった。退園後、班ごとに舞浜駅から浦安駅にある宿泊先のホテルへ移動した。
 (2) 2日目
朝一番に国会議事堂を見学した。一巡りしただけであったが、実行委員が作成したガイドには、議会政治の基を築いた3名の功労者や時代背景などが詳しく紹介されており、それらを直に見た生徒は歓声をあげていた。
議事堂正面での記念撮影後、都内班別分散学習を開始した。赤門や博物館、原宿や渋谷などの街の散策、靖国や根津の神社など、時間やルート、費用等にむだがでないよう2~3カ所の見学地を入れ、専用アプリを活用して、時間やルート、費用等にむだが出ないよう計画した。各班1台スマートフォンを携帯し、記録写真と地図アプリによる乗り換え経路の確認に活用した。ICT活用は、見知らぬ土地での班別行動の生徒の不安を和らげていた。浅草に全班予定通りに集合し、バスでカラオケ等を楽しみながら山中湖ペンションへ移動した。 
 (3) 3日目
雲一つない晴天に恵まれ、富士山を背中に記念撮影後、それぞれの自然体験学習先へ移動した。初めて体験することばかりで、生徒は興味津々に取り組んでいた。昼食後、バスで名古屋に帰る途中に、バスレク実行委員が用意した動画を観たりカラオケを楽しんだりした。学校に到着する直前の「帰りたくない」という声が上がる中、3日間の全行程を無事に終えることができた。

【成果】
キャリアタイムの取り組みを通して、生徒は、3日間の行程の中で事前に計画した学習内容を学ぶことだけでく、その見学先に向かう交通機関の中、見学先で出会った人の様子、さらには、街で通りすがりの人やものとの出会いなどから、多様な学びをしていた。そして、このような学びがあったことを、私たち教職員も知ることができた。

【終わりに】
昨今、物価の高騰、働き方改革等による費用の増加や、新型コロナウイルス感染症の5類への移行などを受け、修学旅行のあり方を見つめ直す時期ではないかと考えている。今回のキャリアタイムの取り組みで見えた生徒の多様な学びは、見学先や体験先からもたくさん得るものがあるが、ただそれだけでなく、行程のあらゆる場面で行われることが分かった。改めて修学旅行そのものに大きな価値があることを再認識した。
今後も生徒の多様な学びをよく捉え、吟味し、生徒主体の活動を中心にした修学旅行をつくっていきたい。

2024年度は、尾張旭市立東中学校の事例発表を予定している。


※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2024年2月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2023年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2022年4月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2021年4月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2020年4月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2019年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2018年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2017年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2016年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2015年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2014年3月号 教育旅行研究に掲載。
※本報告の修学旅行については、月刊「教育旅行」2013年1月号 教育旅行研究に掲載。

愛知県修学旅行実施状況

修学旅行実施状況2019(平成31/令和元)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2018(平成30)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2017(平成29)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2016(平成28)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2015(平成27)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2014(平成26)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況2013(平成25)年度実施分】を作成しました。
修学旅行実施状況【2012(平成24)年度実施分】を作成しました。
名古屋事務所(2021年1月閉所)では、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会、愛知県私学協会ならびに各校長会のご理解・ご協力のもと、県下の国・公・私立、小・中・高等学校の調査およびデータ集計・分析を行い、関係機関に資料としてご提供しております。
調査結果から各関係機関におきまして、より有意義な修学旅行の実現を目指すことを目的としています。
 
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